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牛鬼
『牛鬼』、それは小学校低学年の時に僕が、幼稚園以来の友人富岡裕一の母である喜代美おばさんに付けたアダ名である。
女だてらに焼酎を浴びるように飲み、煙草もプカプカふかす喜代美おばさんは縦横に大きく、逞しい身体付きをしていた。
当時よく見ていた『まんが日本昔話』に、出てきた巨大な牛鬼そっくりの体格だった。
酒と煙草にやられ、塩辛声になっていた喜代美おばさんは顔まで酒焼けまでして、まるで相撲取りか女子プロレスラーのようだった。
旦那さんに先立たれ、親戚に頼る人がいない喜代美おばさんは女手一つで裕一を育てていた。
今でこそ珍しくないが、当時としては滅多にいないトラックの運転手をしていた。
周囲は荒くれた男ばかり、そんな環境だから喜代美おばさんは男に負けないよう、女を捨てたような格好だったのだろう。
そんな彼女の唯一の支えが信仰、創価学会だった。
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