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本田妙
裕一の件に多少関わっているし、僕の人生を大きく変えたという点で、どうしても本田妙とその両親のエピソードを語らざるを得ない。
多分書く事により、多少なりとも僕の考え方というものを知っていただけるのではないか、と思うからだ。
僕が中学2年に進級する直前、1つの出会いが僕の人生を大きく変えた。
創価学会地区幹部一家の一人娘、本田妙(仮名)との出会いである。
1学年下の彼女が僕の家の近所に引っ越してきたのは、丁度春休みの最中だった。
この時は、ご近所への挨拶回りで妙とチラッと顔を合わせた程度で、これといって特別な印象は無かった。
しかし、後にこの本田一家に熱心に勧められて、僕は創価大学に進学し、結果として強硬派創価学会アンチとなる。
もちろん、僕の母と親戚一同は創価大学進学に大反対した。
しかし、無知故にタカをくくっていた僕は、お気楽にも創価大学に進学してしまった。
妙と本格的に関わるのは僕が中学2年の初夏、『文化祭実行委員会』の会議の時である。
僕が文化祭実行委員会になった理由は、あまり誉められたものではない。
わりとお調子者で目立つ存在であった僕が、クラスの多数決で委員会を押し付けられたのだが、どうせやるなら活動期間が短く、楽そうだから選んだに過ぎない。
会議ではまず自己紹介をして皆で文化祭の方向性を話し合ったが、僕は勝手が分からず沈黙したまま様子を伺っていた。
誰がどんな考えを持っているのか、どういう性格かを観察していた。
色々な意見が出る中、頬杖をついたままの僕は、妙の目には不貞腐れて不機嫌に映ったらしい。
会議が終わり解散すると、いきなり妙に廊下で呼び止められた。
「刀隠先輩!どうして貴方だけ何も意見を言わないんですか!?不貞腐れているんですか!?」
この時妙はまだ身長145cmと小柄、僕はすでに身長178cmあった。
自然、妙を見下ろす形になった。
当然こちらもカチンときた。
「一々他人に口出ししてんじゃねーよ。オマエは急須か?」
不機嫌な表情を浮かべたのは事実だが、先の身長差もあり、この時妙は僕によくよく見下されたように感じたという。
色白の妙は悔しさで首まで真っ赤にし、大粒の涙をポロポロ溢し泣き始めた。
「やだやだ、女は簡単に泣けばいいものな。」
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