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思いっきり薄ら笑いを浮かべ、辛辣に妙に言葉を投げ付けると、僕はそのまま立ち去った。
もちろんお互いの印象は最悪、しばらく無視しあっていた。
当然僕の行動は学校でも批判されたが、中には僕を擁護する意見もあった。
『あの娘、ソウカガッカイだから少しおかしいのよ。』
カタカナで表記したのは、当時の僕が創価学会を知らず、何が何だか解らなかったからだ。
妙との仲直りは案外早く、あの会議から1ヶ月も経たないうちだった。
妙の家は、創価学会幹部だけあってしょっちゅう学会員が集まっていたし、両親はよく『御山登山(日蓮正宗富士大石寺詣で)』に泊まりがけで出掛けていた。
6月の雨が降りしきる夜、仕事帰りの母が半濡れの妙を家に連れて来た。
御山登山に出掛けた妙の両親が、うっかり家の鍵を持って行ってしまったらしい。
妙の家の鍵は、いつもは物置小屋に隠すように置いていたらしいが、そのいつもの場所に無かったそうである。
妙もアチコチ鍵を探したらしいが、やはり無いものは無い。
当時は携帯も存在しないので連絡の取りようが無かったし、しかも妙の両親は家に帰るまで自分で鍵を持っている事に気が付かなかった。
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