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ざばぁぁっ!
「ぷはっ、穫れた穫れたぁ! 大漁だあ! 魚が一〇に、貝は四〇はあるぜ!」
岩の上のニタリにそう叫んで、網に入れた魚と貝を見せびらかすと、こっちに気づいたニタリは、弾いていた楽器を脇に置いた。
「わあっ、すごいね! さすがオルカくんだね!」
「なははは、そうだろ? さあニタリ、今日はどれが食べたい?」
網の中身を並べながら尋ねる。今日の目玉はなんと言ってもこの大きなタイ! ニタリの大好物だ!
「じゃあこれ、イワシ!」
「イワシ? 本当に?」
イワシだぁ~? こいつ、遠慮してやがるな?
「うん!」
「好きなもん選んでいいんだぞ?」
「だって、タイは高く売れるし…」
やっぱりか! いらない気を使いやがって…。
「じゃ、本当に食べたいのはタイなんだな。」
「え? あっ…で、でも…」
「気にすんなって、ニタリのためにとってきたんだからよ。」
ニタリは一瞬きょとんとした後、少しだけ頬を染めてはにかんだ。
「うん、ありがと、オルカくん。」
「じゃあ、残ったのを売ってくるぜ。」
「うん…気をつけてね。ご飯の準備して待ってるからね。」
「大丈夫だって、向こうの飯でも買ってくるよ。」
残った魚と貝をまた網にいれ、俺は人間の漁師達のいる港へと向かった。
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