オルカとニタリ

2/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
 ざばぁぁっ!  「ぷはっ、穫れた穫れたぁ! 大漁だあ! 魚が一〇に、貝は四〇はあるぜ!」  岩の上のニタリにそう叫んで、網に入れた魚と貝を見せびらかすと、こっちに気づいたニタリは、弾いていた楽器を脇に置いた。  「わあっ、すごいね! さすがオルカくんだね!」  「なははは、そうだろ? さあニタリ、今日はどれが食べたい?」  網の中身を並べながら尋ねる。今日の目玉はなんと言ってもこの大きなタイ! ニタリの大好物だ!  「じゃあこれ、イワシ!」  「イワシ? 本当に?」  イワシだぁ~? こいつ、遠慮してやがるな?  「うん!」  「好きなもん選んでいいんだぞ?」  「だって、タイは高く売れるし…」  やっぱりか! いらない気を使いやがって…。  「じゃ、本当に食べたいのはタイなんだな。」  「え? あっ…で、でも…」  「気にすんなって、ニタリのためにとってきたんだからよ。」  ニタリは一瞬きょとんとした後、少しだけ頬を染めてはにかんだ。  「うん、ありがと、オルカくん。」  「じゃあ、残ったのを売ってくるぜ。」  「うん…気をつけてね。ご飯の準備して待ってるからね。」  「大丈夫だって、向こうの飯でも買ってくるよ。」  残った魚と貝をまた網にいれ、俺は人間の漁師達のいる港へと向かった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!