指が絡まろうとも

洗礼

「なんかみんなテンション低くない？？」

いつもの明るさがないメンバーに僕は問いかけた。この時点でメンバー五人中三人の留年が確定していたが、また新たな脱落者がでたのだろうか？

しかし沢村の口から発せられた言葉はそんなことではなかった。

沢村「実はさ、中居がバンド辞めたいって。…あいつバンドよりゲームを愛してるんだ。」

僕は愕然とした。バンドよりゲームが好きだって？？信じられん😣

ここでいまでも僕の心にのこる沢村の名言が飛び出した。

「シュール、バンドって言うのは恋愛と一緒なんだよ」

まさに、バンドというコミュニティの全てがその一言表れていた。

主張がなさすぎてはいけないし、ありすぎてもいけない。
そして、人間性は何より音楽性もあってなくてはいけない。ほんとにたくさんの要素がからみあってはじめてバンドというのは成り立っているのである。

バンドよりゲームを愛している中居に、無理矢理ベースを弾かせた所で、最高のサウンドは生まれないのである/

どんなに気心がしれた友達でも、うまくいかなければ、バンドというコミュニティでは決別が待っているのだ。