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「おぉ」
俺と師範のやり取りに横で感心し拍手してる拓海。
しかしマジいてぇ…。
「このアホ!!お前はこの道場で何を学んだ!!」
「え?」
「俺が教えたのは、テコンドーだけじゃねぇ。耐え抜く力、仲間を守る力。そして仲間、大切な人を信じることだ!!」
師範の叫ぶような言葉に俺は顔を上げた。
今師範が言ったこと。それこそがこの道場で学んだこと。
仲間の勝利を信じる強い心。
武術は体だけじゃなく、心も鍛える。
そう教わり続けたはずだ。
「もしお前の大切な人が危険な目にあったら迷わずここで身につけた力を使え。
それ以外は、相手を信じ続けろ。
お前の信じて選んだ相手なんだろ?」
師範は俺の両肩に手を置いて真っ直ぐ俺の目を見て言った。
「はい…。ありがとう…ございます…」
この人には一生かなわない。
そう思うほどに、この人は偉大だと感じた。
「よっし!!おらっ、竜一飲むぞ!!拓海っ、お前も飲めやっ」
「俺、ドライバーって言いませんでしたっけ?」
「んーなのいいじゃねぇか」
「無理です。ま、つぐくらいはしますよ」
拓海は師範のグラスに酒をつぐ。
「おう!!ほらほら竜一も飲めよな!!」
「はい、いただきます」
ったく、拓海にはいくら感謝しても足りねぇな。
俺はグラスに入ってる酒に口をつけた。
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