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バスは思っていたよりも、混んでいた。
学生の帰宅時刻なのだろう。
大学前のバス停から大学生が大勢バスに乗り込んでいる。
社会人からしたら迷惑に感じるんだろうな。
今の俺は学生に見えてるのかな?
周囲を見渡して、俺は少し若くなった気すらした。
同じ年齢でも、学生と社会人ではやはり違う。
老けたとまでは言わないが、学生より先に社会に出てる分、年を取っている気になってしまう。
まぁ、俺が選んだ道だ。
後悔なんかは微塵もしてないけどな。
「あ、神城くん?」
と、背後から声をかけられた。
このシチュエーションと声には覚えがあった。
それもつい最近。
振り返ると、そこには昼間出会った葉山大介が立っていた。
「あぁ、よぉ」
俺は相変わらず短く挨拶する。
「偶然!今帰り?」
「まぁね」
「早瀬さんは?」
「藤倉さんとこ行くとかで学校で別れたよ」
「そうなんだ」
葉山は俺の背後から、強引に隣に割って入ってきた。
まさか、会話するつもりか?
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