崩壊の序曲

2/16
前へ
/427ページ
次へ
竜一side 2月が過ぎ、今は3月。 肌寒い季節が通り過ぎて、風は少しだけ暖かくなってきた。 貴子は大学が春休みに入った。 そのおかげで、俺たちは会える日を見つけては会っていた。 何回も会って、何回も遊びに行った。 お金も使わず、ただ公園で喋ってるだけの日もあった。 ずっとバカにしていた時間だけど、今の俺にとっては一番幸せの時間となっていた。 今日はお互い予定があったため、休みながらも俺と貴子は会っていなかった。 俺はいつも集まる居酒屋、『伝心』に拓海と来ていた。 時間が夕食時ということもあり、店は客で溢れていた。 俺と拓海はテーブル席に腰掛け、頼んだ釜飯を口にしていた。 「拓海も今春休みなんか?」 「んぁ?あぁそうだけど?」 釜飯を口に含みながら頷く拓海。
/427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

318人が本棚に入れています
本棚に追加