崩壊の序曲

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車を動かし続けて大体30分くらいたっただろうか。 景色は変わり、建物の数が少しずつ減ってきた。 この風景は知っている。 高校までよく通っていた道だからだ。 「ほい、到着」 「やっぱりな」 車を止めた拓海に、俺は軽く笑って言った。 俺たちの目の前にあるのは一軒の大きな屋敷。 うちの実家と似た構造だ。 大きな門を中心に、塀で家を囲っている。 敷地内は広く、家と道場がある。 ここは幼い頃から俺と拓海が通っていたテコンドーの道場だ。 ピンポーン 拓海がインターホンを鳴らすと、中から一人の女性が出てきた。 「拓海くん、竜一くん。いらっしゃい」 「お久しぶりです」 「お久しぶりです」 拓海と、俺は目の前の女性に挨拶した。 40代の女性だが、とても若々しく可愛らしい女性だ。 さらには青い瞳と金色の髪が特徴的。 そう、彼女はフランス人の女性。 俺や拓海の師範の妻である。 名をソフィー・ファーレンさんと言う。
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