崩壊の序曲

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「久しぶりね。さ、入って入って」 「はい」 「失礼します」 俺と拓海は軽く頭を下げてから門をくぐり、敷地内へ入った。 敷地内は広々としており、入って右手一面は大きな道場となっている。 左手には和風作りの屋敷があり、庭には池がある。 敷地なら俺の実家よりも広い。 ここに来るのが久しぶりなせいか、とても懐かしく、そして落ち着く。 昔は辛くて来るのがしんどかったが、今となっては大切な場所だ。 「おう!!拓海、竜一。よく来たな!!」 玄関に入ると師範が迎えてくれた。 背丈は170代後半。 黒髪をオールバックにしている。 師範を名乗っているが、体つきは細い方だ。 師範は絞られた理想的な筋肉をしているため、服を着ていたら太く見えない。 名を李 竜明(リ リュウメイ)。 韓国人の50代男性だ。 この人が、この敷地内の家主にして俺や拓海の師範だ。
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