崩壊の序曲

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「お久しぶりです、師範」 「お元気そうで安心しました」 俺と拓海は、ソフィーさんの時のように頭を下げる。 この二人の前ではいつもそうだ。 ソフィーさんにはお世話になったので感謝の気持ちで。 師範は…恐怖のあまり…。 無論感謝の意味もあるが、昔からのことなのでこればかりはいつまでたっても変わらない。 師範代、李竜明はテコンドーの世界では有名人だ。 現役時代には世界大会にも出場した経験がある強者だ。 さらには指導の才能もあるときた。 ゆえにここの道場は全国屈指の名門道場なのだ。 入門にもテストがあるくらいで、俺や拓海も苦労して入った。 「お前らも元気そうだな。ん?」 師範が俺の顔を見て顔をしかめる。 「なるほどなるほど。竜一はそうでもないようだな」 師範が笑いながら言う。 「やっぱり師範には分かりますか。だから連れて来たんですよ」 「さっき拓海から来たメールの意味が分かったわぃ」 拓海と師範の話がよく分からない。 俺は口を挟めなかった。
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