崩壊の序曲

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「ほれ、拓海、竜一。座れよ」 師範に言われ、俺と拓海は座敷の席に座った。 長い机に、等間隔に並べられた座布団。 昔ここで騒いでいた頃と何も変わっていない。 机には俺と師範が飲む酒とコップ。 運転手の拓海が飲むジュースとコップが置いてあった。 「久しぶりの再会に乾杯だな!!」 師範がグラスを俺たちに向け、俺たちも自分のグラスを師範のグラスにぶつけた。 「それで?」 「え?」 師範にいきなり聞かれ俺は反応出来なかった。 「珍しく悩んでるそうじゃないか?」 師範は飲み干したグラスに酒を注ぎ込む。 「まぁ悩むっつーか…。実は…」 俺は貴子の近くにいる葉山の話を師範にした。 師範は何も言わず、ただ俺の話に耳を傾けていた。 「って感じなんです」 「…」 「師範?」 「たわけがぁぁぁ!!」 師範は座ったまま俺の頭にかかと落としをした。 「いってぇ!!」 俺は久しぶりに感じる痛みに頭を抑えた。
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