318人が本棚に入れています
本棚に追加
この公園は桜がライトアップされていて、地元も人間なら知らない奴などそうはいないだろう。
無論俺もその一人。
この場所は好きだし、以前は貴子とも来ようと思っていた場所だ。
俺は公園を見渡す。
が、貴子はまだいない。
それも当然か。
さっき呼び出したところだしな。
俺は貴子を待つため、噴水の近くにあるベンチに腰掛けた。
30分後。
貴子が公園の入り口から姿を現した。
俺を見つけると駆け寄ってくる。
「ごめんね、遅れちゃって」
「いや、いきなり呼び出して悪かったな」
会話だけ聴いてたら恋人のようにも聴こえるだろうな。
でも、そんな話じゃないんだ・・・。
「えっと・・・その・・・元気だった?」
貴子は俺から視線を外して、髪の毛を触りながら聴いて来た。
「まぁ、それなりに」
俺もさっきから貴子の目を見れずにいる。
目を見たら、決心が鈍りそうだったから・・・。
でも、もう決めたことなんだ。
俺は貴子の方に顔を向ける。
だが、目は見れなかった。
最初のコメントを投稿しよう!