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貴子と別れてから三ヶ月が経過した。
季節は夏になり、陽も長くなり気温も暑くなった。
俺は貴子と付き合う前の生活に戻った。
毎日職場に顔を出し、客としてくる女と遊び、そして帰る。
そんな何も面白くない毎日に戻ったのだ。
もちろん、貴子とは一度も連絡を取っていないし、会ってもいない。
そして今日も、仕事が終わり家へと帰路へと立つ。
その時。
ポケットの中で携帯が震えた。
携帯を開くと、そこには『岸野拓海』の名前が出ていた。
「もしもし?」
『お、竜一か?今から時間ねぇ?』
「今仕事終わったとこだから空いてるけど?」
『そっか、ならいつもの伝心にいるから来いよ』
いつも俺と拓海、椋が集まる居酒屋『伝心』。
断る理由もない、俺はすぐに返事した。
「あぁ、じゃ今から行くわ」
『あーい、待ってまーす』
俺は携帯を切り、電車に乗って伝心を目指した。
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