315人が本棚に入れています
本棚に追加
/427ページ
俺がボーっと考えていると、拓海が俺をじっと見ていた。
「どうかしたか?」
「んにゃ、何でもないぞ」
すぐに前を向いて拓海はもう一度ウーロン茶に口をつけた。
なんだ?
まぁ、いいか。
「ね、竜一」
「なんだよ?」
俺は椋の呼びかけにグラスを置いてからこたえた。
「今度三人で遊びに行こうよ」
「どこに?」
「どこでも、とにかく遊びに行こう!」
「いいな、ついでに全部竜一のおごりで」
「それいいアイデアね!」
いつの間にか俺の奢りの方向で話を進めている拓海と椋。
でも、この二人が普通に接してくれるのは正直嬉しい。
こいつらにまで気を使われたら、俺もどうしていいかわからないからだ。
だから、拓海と椋がいる時だけは俺の心は救われているような気がする。
「そうだな、どっか行くか」
「約束ね」
椋は小指を立てて俺に微笑んだ。
「あぁ」
俺も小指を立てて見せて軽く微笑んだ。
季節は夏。
さて・・・何して過ごそうか・・・。
俺はまったく予定のない未来を想像しながらグラスに入った酒を口に含んだ。
最初のコメントを投稿しよう!