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竜一side
貴子と別れて八ヶ月。
春が過ぎ、夏が過ぎ、日本には再び冬が訪れた。
夏は何もないまま、ただただ生きてただけ。
拓海や椋も本格的に忙しくなり、俺は本当にただ生きてるだけの状態になっていたのだ。
そして冬。
クリスマスも近づいているということで、街はクリスマス仕様になっている。
木には電飾が灯され、街を歩けばクリスマスを知らせるポスターで溢れかえっている。
クリスマス。
決められているわけでもないというのに、その日はもはや恋人同士の日となっている。
今まで興味もなかった日だというのに、今年はやけに意識してしまう。
「くそっ・・・いつまで・・・」
ツリーを見上げながら、俺は自分に向けて呟いた。
自分でもこんなに未練たらしいとは思わなかった。
別れたらすぐ冷めると、そう思っていた。
しかし、想いなど何も変わっていなかった。
時間を空けて、自分がどれだけ貴子を好いていたか。
でも、もう何もかもが遅い。
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