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「ここはいつまでたっても変わらないね」
10月の冷えてきた風を受けながら貴子が言う。
目の前には海。
高い柵をはさんで、俺たちは海を見ていた。
「あぁ、いつまでたってもあの時のままだな」
俺は何も変わらないここが好きだ。
だから自然と顔は笑顔になっていた。
「竜一くんは、まだあの時のこと覚えてる?」
「あの時?」
俺が貴子を見て聞き返す。
すると貴子は微笑んで口にした。
「うん、私たちが出会った時のこと」
「そのことな。あぁ、よく覚えてるよ」
「本当に?」
貴子が俺の顔をのぞきながら言う。
「本当さ。なら少し思い出話でもするか」
「うんっ!いいねっ」
「さて、どこから話そうかな。やっぱり出会った時からか」
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