序章

2/3
前へ
/32ページ
次へ
現代のロンドン。 ある屋敷の一室に、夕空を眺める男の姿があった。 黒髪に黒いマントを身につけた彼の顔は、白い仮面で覆われていた。 オペラ歌手ジェニス・カトレーンの父親、ジャン・デスコールである。 「...お父様?」 不意に部屋の扉から、声がした。 「......ジェニスかい? お入り」 すると、綺麗な赤毛をしたジェニスが部屋に入ってきた。 「お父様。今夜、あの演奏会を開かれるのですか?」 「そうだよ。“永遠の命”の謎解きを、今夜するのさ」 「心配することはないよ、ジェニス。お前の命は...私のものだ。誰にも、渡さない」 「たとえ、あの謎を解いたとしても...」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加