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「これは、限られた人しか知らない事だよね?
でも、私は知ってる……これでも……信じて貰えない?」
「確かに……その言葉は俺が言いました……左肘を痛めたのも確かです……けど、それにしても……貴女のその話は……現実味が無さ過ぎる……。
申し訳無いが、とても信じることは出来ません……。」
「!…現実味がないって……私にとってはこれが現実なんだよ!?
目が覚めたら知らない部屋に居て、なぜか解らないけど別世界に1人放り出されてて……私だって信じられないよっ!信じたくないよっ!」
国光君の言葉に傷付き、泣きそうな顔をしながらそう声を荒げる。
そして声を荒げた光琉を驚きの表情で見る国光君。
そして、困惑したような、苦悩に少し苛立ったような表情になり
「じゃあ貴女は、俺にどうしろと言うんですか?
それを聞かされたところで、もしそれが事実だとしても……俺は貴女に何もしてあげられない!」
「だからっ……もしじゃなくて、私にとっては現実なのっ……!私だって、どうしたら良いのか解らないよっ……っ//
ごめんっ…もう良い……やっぱり話すべきじゃなかった……//」
話しているうちに涙が零れそうになり、必死に耐えながら話していた。
しかし耐えきれなくなり、立ち上がる光琉。
そして彩菜さんに買って貰った上着を持つと、スタスタとドアに向かいドアの前に立ち止まって振り返らずに
「国光君混乱させちゃって……ホントごめん。」
立ち上がった気配に国光君が顔を上げると光琉は苦笑しながら
「正直言っちゃうとね……こっちに来てから一人ぼっちで辛らかった……知ってる人誰もいないし……。
でも、私の世界にいた時から大好きだった君がいて……こっちに来てから、君と毎日一緒に生活してみて、君が思ってた通りの人で……大好きだなって……実感して。
だから、頑張ろうって思った……。だから、本当の事…話そうと思った。」
光琉の言葉に更に驚いて、目を見開く国光君。
「でも……やっぱり……こんな事……話すべきじゃ……なかったね……。
ごめん………ちょっと頭冷やしてくる……。」
パタンッ
そう話すだけ話して、呆然としている国光君を残し光琉は部屋を出て行ってしまった。
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