きっかけ

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美味しい食事が食べられるならどこでも行くわよ。 あ…それ考えたら最初から会うだけでも良かったかな。 「おい、母さん!香子からOKもらったぞ!」 父よ…そんなに嬉しいのか。(二度目) 夕飯の支度をしていた母が台所から「あら~」なんて呑気な声を出して居間に入ってくる。 「香子、やっと先方さんに会う気になったの?」 「やっと先方さん」という言葉に引っ掛かったけど、とりあえず頷く。 「良かったぁ。香子いつまでたっても彼氏連れて来る気配ないし、お父さんなんて『香子が彼氏を作らない』って心配してたのよ。普通父親は『彼氏なんぞ許さん!』って怒っちゃうモンなのに。」 と、コロコロ笑っている。が、私は「やっと先方さん」が引っ掛かっていたから思い切って聞いてみる事にした。 「ねぇ、お母さん、『やっと先方さん』ってさぁ、私の相手ってずっと同じ人だったの?」 確か、以前弟から聞いた話だと、「私のお見合い相手とやらは私に固執していて、私が何度断ろうがめげずに両親と会っていてそのうちに両親、弟共に彼と仲良くなってしまった…」らしい。
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