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「私の故郷は戦いをまったくといっていいほど知らないものたちの集まりだったから」
「てーことは」
「私の一族の特殊性なんてこの程度だ」
私はアギトの問いに答える代わりにふっと目をつぶってゆっくりと開く。
同時に左目が蒼から紅に変わり私の背に左右で色の違う一対の翼が現れる。
「黒と白で一対とは確かに珍しいですが」
「それよりも人の背中に翼が生えることの方が珍しいだろーが!」
「そうですか?」
「そうだよ!」
「あ、あの説明を続けてもいいか?」
「先に質問してもよいですか?なぜ翼がでると左目の色が変わるんです?」
「それは・・・」
「んなことどーでもいいじゃねーかよ。翼が生えることが珍しくねぇんだったら目の色が変わることぐれぇでくだぐたいうなよ。それよりユーグ、説明ってのはなんだ?」
「あ、ああ。この翼は幻覚作用を持つチョウの鱗粉のような粉に覆われてるんだ。目に見えるようものじゃなく確認するのも大変な細かいものだ」
「相手が人間なら効き目がありそうですね」
「ああ」
「なぁ、ユーグ。風はおこせねぇのか、その翼」
「起こせないことはないだろうけどアギトの剣でも傷一つつかないようなあの砂の獣を崩せるほど強力な風を起こすことは無理だよ。その前に翼を折るのがオチだ」
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