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「ユーグ?寒くないですか?」
宿の中庭にあるベンチに腰掛けぼんやりと考え事をしていた私に声をかけたのは私に旅立つきっかけをくれた件の彼女だった。
彼女も私と同じようにすべてを喪くし人の理をはずれたのだという。
そういうものの方が強い力を持つのだと彼女はいった。強い力を持つリーダーを必要とする彼らのリーダーを自分が務めているのはそういう訳なのですと彼女は少し恥ずかしそうにいっていた。
「故郷はもう少し寒かったからね、このくらいなら大したことはないよ」
前に回って心配そうに見つめてくる彼女に私はそう答えた
「でも、あんまり体を冷やすのはよくないですよ。中に入りましょう」
彼女は私をたたせると手をぐいぐいひっぱり宿の中に入った。
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