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そうして数日後の昼、私たちは件の廃鉱のそばにいた。
長い年月のうちに廃鉱の存在自体が忘れ去られてしまったのか侵入は思いのほか簡単だった。
「あっけねぇな」
「そうだね。でも、中がどういう状態かわかってないんだろう?レフト」
「えぇ。長いこと放置されていますからどの程度荒廃しているか・・・。それに危険な獣の住処になっていないとも限りませんし」
「警戒するに越したことはねぇってことだな」
「そうだね。セネアは大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。私はユーグが思ってるよりか弱くないのですよ」
「そうだったね」
そして、私たちは廃鉱へと足を踏み入れたのだった。
廃鉱の中はレフトの危惧していた通り長い年月放置されていたせいでかなり荒廃していた。
ところどころ通れないところもあったがそのたびアギトやレフトが道を作りなんとか先に進んでいた。
もう一つの危惧である獣の気配はどうやらなく、少しずつ歩く内、だんだんと最深部へと近づいているようだった。
そんな私たちに危機が訪れたのはそんなときだった。
地面が揺れ瞬く間に砂でできた獣が形作られていく。
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