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教師の声も耳に届かず、俺はただ窓の外を眺めているだけだった。
道行く人々を目で追っては、すぐにため息を吐く。
「この問題を……おい鹿山(かやま)。鹿山悠木(ゆうき)」
そりゃそうだ。こんな簡単に見つかるようだったら一ヶ月も探しっぱなしになるわけがない。
それでも、探さずにはいられなかった。
どこに行ったんだよ、どこに――
「聞かんか鹿山!」
スパンと、教師が出席簿で俺の頭をひっぱたいた。
随分と、いい音だった。
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