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藤堂の一言でとっさに振り向いた俺だが、それと同時にただの騙しだという事に気づいてしまう。
わかりやす過ぎる、と言わんばかりの二人のため息が耳に痛い。
「……お前らなあ」
「いや、悪かったって」
鹿山優香――まあ俺の姉貴なんだが、一ヶ月前からずっと行方が解っていない。もう捜索願いだってとっくに出した状態だ。
どうしてかは知らない。家出、なんてあの姉貴の性格から考えてまずあり得ない。どこかで事故か事件に巻き込まれたか、それは考えたくない。
「待つしかないだろ」
「……わかってはいるんだけどなあ」
黙ってられないっつーか。
何つーか。
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