探し人

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「一ヶ月前って言ったら、丁度ネットであの噂が出た頃か」 「あの噂?」  この面子の中で一番良識のある藤堂からそんな言葉が出るのも珍しい。  藤堂は弁当を片付けながらただ一言。 「異世界屋」 「……は?」  おいおい、どこの漫画だよ。  それとも単に話題を変えたいだけなのか。馬鹿連中もおもしろ半分に藤堂の話に興味を示している。 「何でも、自分の望む世界を作ってくれるって店があるらしいぞ」 「具体的には?」 「色々あるな。単に拉致られるとか、ボトルシップみたいなのに詰め込まれるとか、なんとかボックスみたいな公衆電話があるとか」 「あ、それ聞いたことある」と一人が言うと、各々がそれらしき情報を次々とこぼしていった。
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