日知屋城

11/13
前へ
/16ページ
次へ
                「どうした、藤兵衛?」 その場に座し続ける三省に祐吉がそう尋ねた。  「………いや、何でも御座らぬ。では、これにて御免。」  暫らく物思いに耽っていた三省はそう言うと、その場を後にしようとした。  「待て、藤兵衛。」 そんな三省を祐清が呼び止めた。  「ここに残れ。そちと二人きりで話がしたい。相模守、祐吉。暫し外しては貰えぬか?」 祐清が言うと、祐吉と祐松は一礼し、その場を立ち去った。  「若様。話とは一体如何なる話で御座りましょうか?」 藤兵衛は祐清にそう尋ねた。  祐清は暫し黙していたが、やがて話し始めた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加