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大永二年四月。日向国三俣領梶山に一万の軍勢が集っていた。
本陣の上座に座すのは伊東氏当主伊東大和守尹祐(ただすけ)の弟伊東相模守祐梁、その右手には伊東上総守、伊東三河守祐運(すけかず)、伊東右馬助、伊東式部太輔が座し、左手には国老の落合河内守兼代(かねより)、福永伊豆守祐炳(すけあき)、稲津修理亮重昌等が座している。
伊東軍の眼前には敵対する北郷(ほんごう)氏の居城である山田城、安永城、野々美谷城が聳え立っている。
「相州様。今度こそあれ等の城を陥落せしめ都之城の北郷左衛門尉めに目に物見せてやりましょうぞ!」
国老福永豆州が大将の祐梁にそう言った。彼は一介の臣に過ぎなかったが当主尹祐の舅になるという幸運を掴んだが故に国老にまで上り詰めた男である。
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