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日向国伊勢ヶ浜。日向灘に面したこの浜辺の断崖の一つにその城はあった。
─日知屋城─
日向国の戦国大名伊東氏の領する城で、後に伊東四十八城と呼ばれる城の一つにして、門川城・塩見城と共に〝三城〟と並び称される要害である。断崖の上に築城したというよりも、断崖の中腹に道や本丸等を拵えたといった方が正しいかも知れない。
天文二年十月廿二日、亥ノ刻。二人の武士を筆頭とする十五人程の騎乗した団体が、伊勢ヶ浜に足を踏み入れ、西の断崖に位置する日知屋城へ向かって馬を進めていく。
先頭を行くのは、伊東氏第七代当主伊東大和守尹祐(ただすけ)の次男にして第八代当主伊東六郎祐充の弟、伊東六郎五郎祐清である。そのすぐ後に、祐清の弟、六郎十郎祐吉が続き、更にその後には彼等に付き従った家臣達が続いている。
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