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三日後、新たに三人の武士が馬で日知屋城へやってきた。一人は顎髭をたっぷりと蓄えた白髪の老将で、還暦間近のような風貌である。その後には、上唇に公家のような髭を蓄えた青年とやや小肥りな体格の中年の武士が続いていた。
「な、何者じゃ!名を名乗れ!」
城門の前に辿り着くと、元服前と見紛う程に若い番兵等が三人にそう尋ねた。
「やれやれ。儂等を知らぬとは新参者にも程があるわい。」
先頭の老将が溜め息混じりにそう言った。
「耳の穴を掻っぽじってよう聞け。儂の名は荒武三省宗名(あらたけ むねもり)!祐清様の傳役を勤めた男よ!」
老将─荒武三省宗名は番兵に言い放った。
「あ、貴方様があの稀代の智将荒武三省様に御座りまするか!ご、御無礼を御許し下され!」
番兵等は槍をうっちゃりその場にひれ伏した。
「ええい、もう良い。そのような事をしておる暇があったらさっさと若様にお伝えせぬか。荒武三省、荒武右京亮、福永藤左衛門尉が参ったとな。」
荒武三省が言うと、番兵は急いで三人の来訪を報告しに行った。
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