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日知屋城本丸。上座には祐清が座している。その右手には祐吉、八代但馬守、佐々宇津次郎右衛門、荒武右近丞宗代、崎田摂津介、小山田主馬正、後藤雅楽助が座し、左手には伊東相模守、長倉能登守、小松兵部太輔、平賀正哉、坪屋次郎左衛門尉、杉田四郎兵衛尉、日野将監が座していた。
「では………誠に御上洛なされるのですな?」
下座に座す日知屋城主福永二郎兵衛尉祐謙が祐清に問うた。
「我等に残された手段は最早それしかあるまい。」
祐清は顔を伏せてそう答えた。
「都於郡は武州に制圧され、城下にはあやつを擁立する輩が現れ、剰え数年前に我が祖父が日向から追放した〝若き衆〟が土佐、球磨、真幸等から日向に戻ってきておる。あやつ等も豆州の孫たる我等を放ってはおかぬであろう。」
祐清はやや自嘲気味にそう言った。
「御上洛は当家御世継たる五郎様の御意志ぞ。方々!よもや異存がある訳ではありますまいな!?」
相模守が一同にそう言い放つと、一同は深々と頭を下げて主命に恭順する意を示した。
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