265人が本棚に入れています
本棚に追加
「…いや、でもやっぱダメな大人だ。……こんなガキを仕事より優先するなんて。」
「…え?…大丈夫、なの?」
「お前が言うか、それ。」
「……だって、」
「…なんかもう、いいや。」
「…何が?」
「葵の代わりに、なんかを失うんだったら…仕方ない、かも。」
「……かもって」
…そんなこと言って、明日にはちゃんと仕事に行くくせに。
わかってるのに、哲の言葉が嬉しくてまた涙が出てくる。
これって期待してもいいの?
また裏切られるの?
どっちにしろ、今こうして仕事をほっぽりだして抱きしめてくれてる哲がいて。
その温もりと匂いが、どうしようもなく愛しくて、安心する。
やっぱりダメだ。
哲がいなきゃ、俺は。
最初のコメントを投稿しよう!