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バン!
誕生日前日。
いつものように哲の部屋で哲の帰りを待ち、帰って来たと同時にテーブルを思い切り叩いて立ち上がった。
「び…っくりしたー。なんなんだよ、急に。」
面食らったような顔をしている哲をキッと睨みつけ、すぅっと息を吸う。
「…哲。」
「………はい。」
哲も俺がいつもと様子が違うのに気づいたのか、少し畏まる。
「……明日。仕事終わったら、あそこの公園来て。」
あそこの公園と言うのはもちろん、哲の誕生日の日に俺達が初めてキスをした、あの公園。
あの後哲は、俺が苦しいと背中を叩くまでキスをしてくれて、その後も何度も甘いキスをしてくれた。
けどそれもその日だけ。
それからは、俺が半ば無理矢理にキスをすればそのままさせてくれても、哲からしてくれたことは一度もない。
最近ではそれさえもやんわり逸らされていて、もちろん正式に付き合っているわけでもない。
そんな関係をハッキリさせる場として、あの公園を選んだ。
縁担ぎじゃないけど、なんとなくあそこなら上手くいくような気がしたから。
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