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「……なんで?」
「話があるから。」
「俺の部屋でいいじゃん。」
「ダメ。ここだと哲、すぐ話はぐらかすでしょ。」
「……明日仕事、遅くなるかも知れないし。」
「……それでもいいから。」
絶対に譲らない俺に、哲は困ったように黙り込む。
「……明日来てくれなかったら、」
そこまで言って口をつぐんだ。
多分、俺の話がなんのことかなんて哲はわかってる。
それでも来てくれないなら、もうカケラも望みがないのと同じ。
「…なんでもない。とにかく、待ってるから。…今日はもう帰るね。」
そう言って何も言わない哲の横をすり抜け、足早に部屋を出た。
なんとなく、ずっとこのままじゃいけない気がした。
哲も、俺も。
もしかしたら明日で全部が終わってしまうかも知れないと思うと、とてつもなく怖いけど。
やっと決心がついたから。
俺は、哲と"幼なじみ"でいたいわけじゃない。
他の人と幸せになってく哲なんて見たくないし、ただ側にいられればいいなんて綺麗事は言えない。
哲が俺と同じ意味で俺を必要としていないなら…もう哲を解放してあげる。
そう、決めたんだ。
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