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「……っ、ふ…っ」
冷えた頬に暖かい涙が流れてはまた冷えていく。
胸が潰れるほどに痛くて、ベンチの上で膝を抱えて泣いた。
泣いても泣いても流せない。
消える気がしない。
哲への気持ちが。
大好きなのに。
なんで、届かないんだろう。
年が離れてるから?
俺がガキだから?
何をどうしたら
哲の心に響いた?
もう、何もわからない。
ただ残ったのは、漠然な不安と、どうしようもないくらいの寂しさ。
もうここで消えてもいい。
別の道を歩くのが、怖くて仕方ない。
哲、哲、哲…
何度名前を呼んでも、その声はただ白い息と一緒に暗闇に消えていくだけだった。
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