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どれくらいそうしていただろう。
その場から動けずにいた俺は、ようやく立ち上がって涙を拭いた。
手足の感覚はもうほとんどなくて、一歩踏み出せばつま先が痛いくらいだ。
ふと空を見上げると、ちらほらと冬の星座が見える。
視線を少し下げて公園に立てられている時計台を見れば、もう俺の誕生日は過ぎていた。
「16才、か。」
ぽつりと呟く。
これからきっと、いろんなことが待っているはず。
楽しいこと、苦しいこと、たくさんある。
その隣に…哲はいない。
大丈夫。
大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、一歩一歩公園を後にする。
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