265人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「…葵が泣いてるとこ、久しぶりに見た。」
そう言って哲が俺の頭を優しく撫でる。
「……俺ももう、いい。」
「…え?」
こうして哲が頭を撫でてくれるんだったら。
もう、ガキでもなんでもいい。
なりふりなんてかまってらんないくらい、
「……哲……好き。」
哲が好きで、大好きで。
言葉なんかじゃ表せない。
「……なんでお前が先に言っちゃうんだよ。」
そう言って、哲からのキス。
冷たい体が、哲の熱い舌でどんどん温められていく。
いっぱい苦しくて、
いっぱい辛くて、
いっぱい泣かされた。
その分、いっぱい困らせてやりたいのに。
キスをする直前に小さく聞こえた言葉。
「……俺の方が好きだ」
そんなたった一言で、
このキスの後の俺は
今までで一番の幸せな顔を、哲に見せてしまうんだ、きっと。
END
→あとがき
最初のコメントを投稿しよう!