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──…‥キーンコーンカーンコーン
「よし、今日はここまでだな、佐藤…終了の合図を」
竹沢は教材を片づけながら二年一組の学級委員長こと「佐藤 紺(サトウ コン)」の名前を呼ぶ。
「はい、起立…礼」
「ありがとうございました」
クラスの生徒は一斉に頭を下げて授業は終了を告げる。
京介は終了の礼が終わるとともに勢いよくまた眠りに入った。
そして、少し時間が経ち…
「おーい、ご飯食べいくぜー」
と飛時に声を掛ける男子二人がやって来た。
一人は飛時の中学からの親友、身長は180程で髪型は前髪を分けたハーフロングの「相澤 圭一(アイザワ ケイイチ)」と、もう一人は高校になってから知り合った、ぱっと見は女に見えなくもないような感じの眼鏡を掛けた友人の「茅原 節名(チハラ フシナ)」だ、京介は『男女』とか呼んでいる。
「あぁ、ちょっと待ってな…」
飛時は鞄から財布を取り出して立ち上がった。
その時。
「…ちょっと待って、これ」
胡桃が弁当箱をずいっと渡してきた。
「ち、ちょっと作りすぎた…だから、や…あ、あげる…」
頬を染めながらしどろもどろでそう発言する。
「うん、ありがとな」
飛時は受け取る。
「た、ただ単にあまっただけなんだからね!!弁当箱洗って返してよ」
そう言い残して慌ただしく去っていく胡桃。
毎度毎度の出来事だ。
「ヒューヒュー」
相澤がありきたりなタイミングで口笛を鳴らす。
「う、うるせぇな、そんなんじゃねぇよ!!さっさと食堂行くぞ!!」
「いい感じですね2人とも」
茅原が呟く。
「うるせぇ、男女(おとこおんな)が」
「ひ、酷いよ~…」
そんな感じの雰囲気のまま食堂へと歩いていく。
飛時の日常はいつもこんな感じだった。
普通に授業中に居眠りして、前の席の女子に起こされ、先生に怒られ…そして、食堂へ行き、貰った弁当箱を食べる。
これが飛時の日常だった。
この日までは…
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