第1話 ‐一目惚れ、逃走開始‐

3/9
前へ
/41ページ
次へ
──…‥キーンコーンカーンコーン 「よし、今日はここまでだな、佐藤…終了の合図を」 竹沢は教材を片づけながら二年一組の学級委員長こと「佐藤 紺(サトウ コン)」の名前を呼ぶ。 「はい、起立…礼」 「ありがとうございました」 クラスの生徒は一斉に頭を下げて授業は終了を告げる。 京介は終了の礼が終わるとともに勢いよくまた眠りに入った。 そして、少し時間が経ち… 「おーい、ご飯食べいくぜー」 と飛時に声を掛ける男子二人がやって来た。 一人は飛時の中学からの親友、身長は180程で髪型は前髪を分けたハーフロングの「相澤 圭一(アイザワ ケイイチ)」と、もう一人は高校になってから知り合った、ぱっと見は女に見えなくもないような感じの眼鏡を掛けた友人の「茅原 節名(チハラ フシナ)」だ、京介は『男女』とか呼んでいる。 「あぁ、ちょっと待ってな…」 飛時は鞄から財布を取り出して立ち上がった。 その時。 「…ちょっと待って、これ」 胡桃が弁当箱をずいっと渡してきた。 「ち、ちょっと作りすぎた…だから、や…あ、あげる…」 頬を染めながらしどろもどろでそう発言する。 「うん、ありがとな」 飛時は受け取る。 「た、ただ単にあまっただけなんだからね!!弁当箱洗って返してよ」 そう言い残して慌ただしく去っていく胡桃。 毎度毎度の出来事だ。 「ヒューヒュー」 相澤がありきたりなタイミングで口笛を鳴らす。 「う、うるせぇな、そんなんじゃねぇよ!!さっさと食堂行くぞ!!」 「いい感じですね2人とも」 茅原が呟く。 「うるせぇ、男女(おとこおんな)が」 「ひ、酷いよ~…」 そんな感じの雰囲気のまま食堂へと歩いていく。 飛時の日常はいつもこんな感じだった。 普通に授業中に居眠りして、前の席の女子に起こされ、先生に怒られ…そして、食堂へ行き、貰った弁当箱を食べる。 これが飛時の日常だった。 この日までは…
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加