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今日は金曜日。
この学校では金曜日の休み時間が終わった後の二時間は道徳がどうのこうのやら、これからのことについてやらを話し合うためのロングホームルームなる授業をいつも行っている。
そして、今日はそのうちの一時間を利用して転校生の紹介を行うらしい。
「…みんな、静かに」
飛時のクラスの担任。
「滝川 陽子(タキガワ ヨウコ)」だ。
低い身長に髪型が前髪パッツンだからだろうか、かなり幼く見えるといつも生徒に言われている。
それを意識してか最近は伊達眼鏡をかけている。
髪型を変えればいいのに…
というのは禁句らしい。
「えぇ、朝話した通り、今から転校生を紹介します、…入ってきていいよ、メリサちゃん」
ガラッと教室のドアが開く。
細く白い脚が教室に踏みいったのが見える。
「わあぁーー!!」
クラス中から声があがる。
外国製の人形のようなくっきりとした瞳に透き通るような白い肌。
そして、なによりも目立つのは重力や何かに逆らっているようにクルクルした長い青色の髪。
いや時折、その髪は虹色のように綺麗にキラキラと光っているかのようでもある。
「はい、みなさん落ち着いてくださいねぇ、メリサちゃん、自分で自己紹介できる?」
「…は…い」
メリサと呼ばれた少女は黒板にある白のチョークを手に取り自分の名前を黒板に書き出した。
書き終わるとチョークを元の位置に置き…
「私の名前は…時神=メリサ=ユスティティア…です」
と一言自己紹介をした。
その時だ…
飛時は彼女の後ろに大きな何かがあるような気がした。
歯車のような、なにかを。
そして、その時、彼女に…
一目惚れした。
「みんなは気付いたと思うけど彼女は外国から来た転校生だから、なにかと不自由だと思うから優しく接してあげてね」
そして、先生は突然、飛時の方向を指さした…
わけではなく、飛時の後ろのスペースを指さした。
「飛時くん」
「ん、なんすか?」
「とりあえずその席の後ろのスペース、その場所に机と椅子置いて少しの間はそこをメリサちゃんの場所にしようと思ってるから、彼女と一緒に上の階の机と椅子持ってきてもらえるかな?」
「いや、ってか断れないんで取り行きますよ…」
そう言って立ち上がり、教室を出た…
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