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そう………
やっと謎が溶けた。
わかったわ。
わたし、太っているんだわ。
『デブ!』
『デブ!』
『デブ!』
頭の中で呪文のように何度も繰り返される、あの見知らぬ女性の言葉。
わたしの心の奥底から、なにか得体の知れないものが沸きあがってくるのを感じた。
きっと、これは、世に言う"希望"よ。
齢十七、高校二年生の冬にして、ようやくわたしにも希望が生まれたんだわ。
まるで雪解けのように…ドロドロと。
雪解けというよりは、マグマだわ。
鏡の前に立って微笑むわたしはチャーミング。
でも、これじゃ駄目ってことなのね。
太っているってことなのね。
それを自覚した瞬間、脳がカーッと熱くなったような感じがした。
ベッドに滑りこみ、わたしはわたしに思いを馳せる。
太るの反対は、痩せる。
太るためには、食べる。
ということは、痩せるためには食べない。
そうね、決まった。
明日から何も食べないわ。
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