友達は体重計

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そんな一般人を尻目に横断歩道を闊歩する。 目の前には"Alta"という建物…これも雑誌で読んだ"109"と同じような建物かしら。 心配には及ばないわ、入ってみましょう。 髪を…なんて言ったらいいのでしょう、ライオンのように逆立てたお姉さんがたくさんいる。 貧しくて仕方なく働いていらっしゃるのでしょう…おかわいそうに。 きっと彼女たちの雇い主が、人々の目を引くことを狙って仕立てあげたのね。 おまけに大音響で流れるテンポのいい曲。すこし騒々しいけれど、気分は上々よ。 入り口近くにあった店がとてもキラキラと輝いていたので、気に入って服を見た。 ピンクや白ばっかり。 でも可愛いわ。裾のレース使いとか、グッドセンスよ! すると、ライオンのようなお姉さんの一人が声をかけてきた。 「なにかお探しですかぁ~?」 わあ、大きな目! びっくりしたわたしは何を言わずに服をラックに戻し、店を飛び出した。 前にプラットホームで出会ったギャルの目も凄かったけど、今日出会った人はもっと凄かったわ。 目の周りまでギラギラしちゃって、あれはハリウッドの特殊メイクの領域ね。
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