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街ゆく人々のわたしへのはにかんだような笑顔が気になるけれど、わたしは財閥の一人娘。
目立ってしまって当然だわ。
ごめんなさいね、皆様。蔑むつもりはないのよ。わたし、生まれつきのカリスマ性があるみたいなの。だから気にせず見てちょうだい。あなたたちに非はないわ。
"Alta"を出て左に曲がるとそこはザ・繁華街という雰囲気。
夕方の薄暗さもプラスして、なんだか怪しい感じね。さあ、冒険よ!ぞくぞくしちゃう。
勇んで闊歩したはいいものの、たいして気になる店はなかった。
目をひいたのは、美しい下着のお店くらい。
お母様はああいうデザインの、オトナな下着をおつけになっているのかしら。見たことがないわ。
わたしももう十七よ。今度ああいう派手でセクシーな感じのものをオーダーしなくちゃね。
繁華街を抜けると、…見つけた。
横断歩道の向こうに輝く"歌舞伎町一番街"の文字。
胸が痛いくらいにドキン!と高鳴った。
オーケー、興奮しないでちょうだい、愛子。
それにしたって凄いわ!
ニュースの特集でしか拝見したことがなかった、あの"歌舞伎町一番街"が、今やわたしの目の前に広がっている。
愛子、やったわね。
冒険は成功よ!
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