鬼の打ち明け話★だんだら橋

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小角は思いました。人間との戦から幾百年も経ち、人は皆、鬼も何も居ないと、思い込むようになった。そろそろ、前鬼 後鬼以外の者共も、世に出したいと。 いい奴ばかりなんです 鬼共は。 京の どこかの橋から(どの橋かは言えませんが)、霊堺を繋いで、鬼共を密かに戻そうと、術をかけました。 恨み、人なのに他人を陥れ、愛もさめれば 憎しみに変わる、人間よりも、この豊かな世界は、地獄で、苦行している 鬼共に ふさわしいと。 鬼は 太古の昔、人との戦に負けて、ずっと 地獄暮らしでしたから。 小角は、前鬼に言いました。 「これからは、お前らの天下になるぞ。気に入らない人間は、どんどん、お前らの代わりに 地獄に送り込もう」と。 前鬼は 悩みました。人が(鬼だと わかると、たとえ 石を投げられても、足蹴にされても)大好きだったから。 あんな うまい にぎり飯を にぎってくれたり、俺に優しくしてくれる、人間の一大事だと。 前鬼は、この事を悩み抜いた末、綱手姫様に相談しました。姫は、考えた末、小角の術を全て、解きました。 「人間にも いいところが いっぱいある。長い瞳で、見守りましょう。」 小角は、渋々 承知しました。 後日、姫は、前鬼に尋ねました。 「どこの橋だったの?」 前鬼は、答えを思いだせません。 「確か、なんたらかんたら…いや だんだら橋です。」 「そう?」 姫は、大いに 笑いました。 とっつぱれ
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