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真上に生首が突然現れる。ちゃんとよくよく見れば首から下、逆さまだから上になるだろうか、体はちゃんとある。八雲紫。幻想郷の管理者で胡散臭く何を考えているか分からない妖怪。顔が真っ赤になっているところから相当酔っているようだ。
「はは、珍しいですね。そんなに酔われるなんて」
妖夢がたじたじと言う。ただでさえ怖いのにそんな首をふらふらと揺らしながらヘラヘラと笑われてると何か最悪なことが起きそうで仕方ない。
「酔ってないですわ。………ああ吐き気が」
「いい加減逆さになってないでちゃんと現れてください!」
吐瀉物を真っ先に浴びてしまう位置にいる鈴仙が叫ぶ。せっかくの楽しい宴会がトラウマになってしまう。僕の思い出なんて冗談じゃない。
一時首を引っ込めた後、スキマから千鳥足で出てくる。いつもなら不穏な空気を纏い畏怖をまき散らすような大妖怪が今や酒気を纏ってゲロを撒き散らすおっさんである。
「おもしろそうな話ねぇ。ちょっとそれで遊んでみましょうか?」
「いやいや、他はともかくあたいは無理」
小町が諦めたように笑いながら手を扇ぐ。死神と閻魔の職業を逆転でもされたら毎日のサボ…充実とした仕事が消えてなくなるどころか過労死してしまう。そもそも閻魔の能力なしに動けば冥界が幽霊で一杯になってしまう。
「別に職業を変える必要はない。ただ権力をうつしかえればいい。ひっく」
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