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静はフルーツジュースの会計まで済ませると、車の助手席に俺を乗せた。
最近、静は免許を取った。車は小さめの新型車で、どこにそんな金があるんだろうかと思う。
「送ってくれるのか?」
「責任取ってあげるって言ったでしょ?明日の朝にでも学校に送ってあげるよ」
「は?!」
驚いている俺をよそに静は車を発進させた。
「おい…」
「いいでしょ?2週間もご無沙汰なんだから」
2週間前、静の実家だったから口元押さえられながらヤられた。
両隣が弟達の部屋でも声抑えながらだったら大丈夫なんて言われたのに、帰り際に変態じゃない方の弟から激しかったねなんて言われて恥ずかしかった。
「でもどこに行くんだよ?」
「新居」
「はい?し、新居?!」
「まぁ、着いたら説明してあげる」
静はニコリと笑い話を逸らして、ハンドルを握っていた。
女の子が男の運転するときの横顔が好きだなんて言ってたのをテレビで聞いたことがあるけど、分かるような気がする。
…いやいや!女の子じゃないんだから!
「そんなに見つめられると運転に集中出来ないよ」
気付いたら停車してて、間近に静のお綺麗な顔があって唇にチュッと…。
「な、なにしてんだよ!」
「キスを欲しがってるのかって」
「ば、馬鹿!ほら信号変わったぞ!」
「はいはい。拗ねちゃ駄目だよ」
俺は窓の方に顔を向けた。
窓に映る自分の顔が赤くて、静が小さく笑ったような気がした。
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