::ありったけの絆創膏を(少年)未

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  やがて着いたのは普通のアパートの3階の一室。 2LDKでまだ段ボールが積み重なってる部屋。 「ここは…?」 「言ったでしょ?新居だって。今更だけど一人暮らしするんだ」 大学も近いからね、と付け加えた。 「いきなりだよ、お前」 「そうかな?」 荷ほどきを手伝うのかなと思って段ボールのガムテープに手を掛けたところで、静がその手を引っ張った。 至近距離に静の顔があり、その3秒後。 キスをされながら床に押し倒される俺がいた。 手首は掴まれて、俺の抵抗じゃびくともしない。俺は現役で幹部なのに傷付くぜ。 そんなことを思っていると唇が離れた。 「考え事なんて余裕だね」 「してねぇ…ん!」 また唇を塞がれて、次は濃いヤツ。 キスの最中に手際よく脱がされる俺のブレザー。 「んんっ…」 そして俺のネクタイで手首を縛っていた。器用すぎるぞ、お前。 「っ…」 何分たったのか、ようやく唇を離し俺と静の間から銀糸が伝っていた。 「このままがいい?ベッドがいい?」 このまま床でなんて背中が痛くなるに決まってる。わざわざそんなことを聞くなんてとことんSだ。 「…ベッド」 小さく呟いた瞬間、体が浮い…。 「お、降ろせ!馬鹿!」 「ベッドがいいんだよね?」 お、お姫様抱っこされるって…! 身長も変わらないし、重いはずの男の俺を軽々と持ち上げている。 もう泣きたいよ、兄ちゃん…。  
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