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「橘、今週の日曜にコンサートあるから、一緒に行こう」
僕はそう言って、チケットを橘に差し出した。橘はそれを受け取って、チケットを見つめた。
「………三木サクラ?知ってる人?」
「え?うん。知り合いだから」
「ふーん…」
「どうかした?」
「……なにもない」
橘はなにか言いたげだったが、コンサートへ2人で行くことになった。
前の日の晩、僕はわくわくするような気持ちにもなったが、反対に怖くもなった。
橘は泊まりに来てくれていたが、キスは拒まれた。僕は面食らったが、抱き締めたら別に何もなかったので、僕は安心した。
「橘………明日、少し怖い。けど、楽しみなんだ。何て言っていいか、わかんない気持ちだけど、どうしよう」
「………うん」
「………。なんかこの前からおかしいよね?どうした?」
「………なにもないよ」
「嘘だ。なんだよ?」
「……………このコンサートに行ったら、片山くんが壊れそう」
橘はそう言うと、そっぽを向いて眠ってしまった。僕はその意味をひたすら考えたが、わからなかった。
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