『転入初日の話』

10/22
前へ
/29ページ
次へ
「私はリーネ・エルトバインと申します。この世界とは別の世界エルトバインから来ました」 上品な言葉遣いとその様子に自然と陽も畏まる。 「あ、私は神崎陽です。…って、あれ?名前も出身もエルトバインって…」 「リーネは異世界エルトバインのお姫様なんだ」 と言って二人の会話に入り込んできた一人の男子生徒。 「へぇ、そうなんですかぁ。…って、お姫様ぁ!?」 陽の驚きのベタさ具合は百点満点である。 「まぁ、普通そういう反応になるよな。あ、俺は浅羽和斗(アサバ カズト)。一応、リーネの世話焼いたり焼かれたりしてる」 男子生徒、浅羽和斗は自己紹介を兼ねてナチュラルに会話に馴染んできた。 「お、お姫様って、ほ、本当に?」 確かにリーネは姫というのに十分過ぎる程の高貴さを醸している。 だが、いきなり目の前にいる少女はお姫様です、と言われても信じられるものではない。 文字通りの半信半疑である。 「あぁ。特に証明出来る物は無いけど、この雰囲気で大体察してくれ」 という和斗の言葉と、その隣で笑顔を崩さないリーネの様子から陽は悟った。 「本当…みたいですね」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加