【第壱幕】ブラザー・コンプレックス

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夏終わり秋掛かる夜 星空の下、屈託の無い笑顔でアンタは笑う 久しぶりの実家と変わらないアンタ… 「また成長してるね…。」 「別にそんなワケでも無いけど…。」 秋風 旋風 虫の音響く 満天の光の中ぎこちなく俺は歩く 「観月に手ほどきを受けてるからかな…?」 なんのつもりかわからない アンタは顔色も崩さずに言った 「さぁね…アニキにはどうせ関係ないだろう?」 ワザと冷たく言い放つ どうせ堪えてなんか居ない でなきゃ俺の気持ちを知ってて、そんな下らないことは言わない… 夜風が頬をくすぐる でもセンチメンタルにはならない 綺麗な円月が足元を照らす 「たまには帰って来なよ…。」 ああ…またどうせ お決まりの台詞だ 俺が聞きたいのはそんなんじゃない だからこそイラつく 「気が乗ったらな!」 強く吐いて 後ろを歩くアンタを引き離そうと 足を早く… 早く… 「なっ!?」 突然手首を掴まれて抱き寄せられる 「なんのつもりだ!離せって!!」 抵抗…正に無駄な抵抗だった 俺はアンタの… アニキの胸の中で絡めとられた そして優しいキス… … 「もういい加減に…して…。」 突然の出来事と力が奪われる体 息を悶えさせてどうにか放つ
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