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何がしたいのかわからない
あの時アニキは断ったんだ
俺を拒絶したんだ…
その筈なのに
やっと居場所が出来たのに
なんで今更、俺を目茶苦茶にしようとするんだ…
ワカラナイ…
「ごめんね…でも…僕だってどうしていいかわからないんだ…。」
目の前で表情が一変する
アニキのこんな悲しい顔
久しぶりに見た
「ならどうして…あの時…。」
言葉がそれ以上出てこない
心が揺れ動く そして 爆発する
耐え切れなくなって視線を投げかけた
「…。」
ただアンタは無言で酷く哀しい視線を俺に向けるだけ
もどかしくて その奥を知りたくて
手を振り解く
「もう…何でもいいから…離してくれ!」
やっとその腕の中から逃れ
秋の夜の中を走る
場所なんてわからない
ただ足が動いていく
「クソッ!…観月さんは俺に居場所をくれたのに…なんで…なんでこんな気持ちになるんだよ…。」
罪悪感と憎悪そして自己嫌悪
言いようの無い感情
心拍数が上がり 呼吸が乱れる
もう等に諦めがついている筈だった
なのに
この気持ちは何だ…
唇に触れる
まだ感触が残っている
「馬鹿…馬鹿アニキ…」
涙が零れてきた
とめどなく溢れてきた
何故泣くのだろう?
自分でもわからない…
落ちて行く感情の狭間
繰り返しざわめく宵の中
見上げた秋の月夜は
涙の雫に彩られた
酷く切ない色だった…
【END】
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